基礎から実践まで学べる
クラウドサービス
実務入門講座

基礎から実践まで。クラウドサービスについての実務入門講座をご案内します。

・公開日:2021/12/13 クラウドの基礎知識

仮想化とは? 仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

仮想化とは? 仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

近年、多くの企業が社内システムのクラウド化を進めていますが、そのクラウドを支えている重要な技術のひとつが「仮想化」です。業務でパソコンを使用する人であれば、一度は耳にしたことがある言葉だと思いますが、今回はこの「仮想化」について、基本的な仕組みやメリット、デメリットを詳しく解説していきます。

仮想化とは

「仮想化とは何か」について詳しく説明する前に、まずは「仮想」という言葉の意味を見ていきましょう。「仮想」というのは、「実際には無い物事を、仮にあるものとして考えてみること」というのが一般的な日本語の意味です。これをIT用語として解釈すると、「実際には違うけれど○○のようなもの」となり、「仮想化」は「実際には違うけれど○○のように見せかける」ことを指します。

具体的には、実在する物理的なリソースを、論理的に異なるリソースであるかのように認識させる技術のことで、1つのものを2つに分割したように見せかけたり、2つのものを1つに統合したように見せかけたりすることを意味します。

仮想化できるリソースの代表的なものとしてはサーバーがありますが、それ以外にも以下のリソースが仮想化できます。

ネットワーク仮想化

サーバーやルーター、LANカード、通信回線など、ネットワーク経路を構成・制御する各要素を仮想化し、複数の理論ネットワークに分割することを意味します。

ストレージ仮想化

複数の異なる物理ストレージを仮想環境上で統合することによって、ひとつの大きなストレージとして使えるようにします。

デスクトップ仮想化

それぞれの端末で個別に可動させていたOSやアプリケーションなどを含む作業環境を、サーバー上の仮想化基盤に統合し、一元管理を行うことを意味します。

サーバー仮想化の仕組み

サーバーとは、さまざまなサービスや機能を提供するコンピュータのことです。ひとつのサーバーにひとつのシステムを作るというのが基本的な考え方ですが、システムが増えるごとに物理的サーバーの数が増えてしまうと、設置や設定、管理などが大変になります。そこで役立つ技術が「サーバー仮想化」です。

サーバー仮想化とは、ひとつの物理サーバーの中に、複数の仮想サーバーをおけるようにする技術のことで、もともと物理的なサーバーで稼働しているWindowsやMacなどのホストOS上で仮想マシン内のOSを動作させる「ホストOS型」と、専用のソフトウェアをダイレクトにサーバーへインストールして、ホストOSを経由せずにOSやアプリケーションを稼働する「ハイパーバイザー型」の2つの方法があります。

仮想化とクラウドの違い

仮想化とクラウドは、どちらもコンピュータ上で行われることから混同されがちですが、使用目的や成り立ち、対象としているものが両者では大きく異なります。

クラウドはソフトウェアなど物理的リソースを持っていなくても、ネットワークを経由して自由に利用できる「サービス」のことで、一方の仮想化というのは、コストやリソースの節約を目的としていて、ハードウエアを抽象化することでリソースを効率的に使えるようにする「技術」のことです。

クラウドは専門的な知識を持っていなくても、誰でも比較的簡単に利用することができますが、仮想化は専門的な知識と技術が必要という違いもあります。

サーバー仮想化のメリット

サーバーを仮想化することによって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

コスト削減

サーバーを仮想化することによって、1台分のハードウェアリソースを効率的に振り分けることができるため、全体の稼働台数を減らすことができ、導入の際の初期費用の削減が可能です。また、ハードウエアが故障してしまった際に新しいものに置き換えるための費用も抑えることができます。

拡張がしやすくなる

1つのシステムに物理サーバーを1つ用意するのではなく、システムごとに仮想サーバー環境を割り当てて使用することができるため、リソースを活用しやすいといえます。また、割り当てる容量を自由に決められるため、必要なスペックに合わせて変更するなど拡張しやすいこともメリットとしてあげられます。

保守運用の負担が軽減される

サーバーを仮想化することによって、複数のサーバーをソフトウェア上でまとめて管理することができるため、保守運輸のための人員を最小限に抑えつつ運用効率を上げることができます。

サーバー仮想化のデメリット

次に、サーバー仮想化のデメリットについても詳しく見ていきましょう。

処理速度が低下する可能性がある

サーバーを仮想化すると、サーバーのリソースを共有することになるため、物理サーバーと比べて負荷が大きくなって処理速度が低下してしまうことがあります。

専門の知識と技術が必要

サーバーを仮想化して適切に運用していくためには、専門的な知識と技術を持った人が管理をしていく必要があります。

仮想化には、上記でご紹介したようなメリットとデメリットがあります。それらをしっかりと理解した上で、仮想化の技術を賢く活用していきましょう。