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・公開日:2021/12/13 クラウドの基礎知識

ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点とメリット・デメリット

ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点とメリット・デメリット

コロナ禍による影響もありテレワークが普及したことで、多くの企業がファイルサーバーをオンプレミス型からクラウド型へと移行しています。インターネットに接続できれば場所を問わずどこからでも社内の資料をやり取りできるクラウド型のファイルサーバーは、これからの事業活動には不可欠な存在です。

今回は、ファイルサーバーをクラウド化する際の注意点やメリット、デメリットについて詳しく説明します。

ファイルサーバーとは

ファイルサーバーというのは、LANやWANなどのネットワークを経由してファイルを管理するサーバーのことで、ファイルの共有やバックアップなどのために使われます。

例えば、仕事で作成した資料を同じ部署の人たちと共有する場合、以前であればメールにその資料のファイルを添付して送ったり、USBメモリなどに入れて渡したりする方法が一般的でした。ところが、ファイルが重すぎてメールで送れない場合や、会社が情報漏洩防止の観点からUSBを使って資料を共有することを禁止するケースも増え、ファイルサーバーが注目されるようになったというわけです。

ファイルサーバーは、アクセス権限さえあれば誰でもLAN経由でファイルサーバーに保存された資料にアクセスして閲覧したり編集したりが可能なため、複数人でひとつのプロジェクトを作業する際などにも便利というメリットがあります。また、ファイルを保存するだけでなく、大切なデータをファイルサーバーにアップロードしてバックアップすることも可能です。

ファイルサーバーは大きく分けて、自社のサーバーにデータを保管する「オンプレミス型」と、インターネット上のサーバーにデータを保管する「クラウド型」があります。この二つの大きな違いは、社外からのアクセスが可能かどうかという点で、オンプレミス型は社内にいる時でなければファイルサーバーにアクセスすることはできませんが、クラウド型はインターネットに繋がっていればどこからでもアクセスすることが可能です。

そのため、新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが広く普及した昨今では、ファイルサーバーをオンプレミス型からクラウド化へ移行する企業が多くなってきています。

ファイルサーバーのクラウド化における注意点

企業がファイルサーバーをクラウド化する際には、以下のポイントに気を付けましょう。

安定した通信環境を確保する

ファイルサーバーをクラウド化する際には、安定した通信環境を確保する必要があります。クラウド型は、インターネットを経由してファイルサーバーにアクセスするため、通信速度や接続状況が常に安定していなければなりません。

クラウド化に適したセキュリティ対策

企業がクラウド型のファイルサーバーを利用する際には、セキュリティへの配慮も十分に行う必要があります。通信時や保管時にデータが暗号化されているか、アクセス権限の設定が細かくできるかなど、セキュリティ対策が万全かどうかを必ず事前に確認しておきましょう。また、万が一の際のサポート体制がしっかりしているかどうかもチェックしておくべき重要なポイントのひとつです。

ファイルサーバーをクラウド化することのメリット

現在多くの企業で主流となっているファイルサーバーのクラウド化ですが、実際に導入することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

保守運用の負荷が軽減

自社にオンプレミス型のファイルサーバーを設置する場合、サーバーの設置や管理・運用などもすべて自分たちで行う必要がありますが、クラウド型ではこれらの業務もすべて提供事業者が代行してくれるため、保守運用に関する業務の負担が大幅に軽減できます。

光熱費の削減

サーバーを設置するためには、サーバールームと呼ばれる部屋を設けて、温度や空調管理などを行う必要があります。物理的なスペースの確保が必要なだけでなく、サーバーを安定稼働させるための光熱費が大きな負担となってしまうことも。一方、クラウド型は自社でサーバーや各種ハードウェアなどを管理する必要がないため、オンプレミス型でかかっていた光熱費を削減することが可能です。

拡張がしやすい

事業が拡大したり、社員が増えたりすると、ファイルサーバーの容量が足りなくなってしまうことがあります。オンプレミス型のサーバーの場合、容量を増やそうと思うとハードディスクの追加やサーバーの増設が必要になりますが、クラウド型の場合にはプランを変更するだけで手軽に素早くシステムを拡張することが可能です。

BCP対策につながる

地震や台風などの自然災害が多い日本では、万が一の際に損害を最小限にとどめて早急な復旧をめざすBCP対策が必須です。ファイルサーバーをクラウド化することで、オフィスでの仕事ができなくなってしまった場合も、在宅勤務やサテライトオフィスなどで事業を継続していくことができ、BCP対策にもつながります。

テレワークでも利用しやすい

クラウド型のファイルサーバーは、インターネットに接続できればオフィスでも自宅でも場所を選ばずにアクセスすることができます。コロナ禍で広く普及するようになったテレワークでも安心して利用することが可能です。

ファイルサーバーをクラウド化することのデメリット

ファイルサーバーをクラウド化することには多くのメリットがありますが、自社のビジネス環境やシステム環境とかけ離れたものを選んでしまうと、操作性が変わってしまい業務効率に影響する可能性があります。こうしたデメリットを軽減するには、直感的な操作性のものを選んだり、サポート体制が万全なものを選んだりするのがポイントです。

また、クラウド型のファイルサーバーはインターネットを経由してアクセスするため、何らかの理由で通信障害が発生すると、データにアクセスできなくなってしまうこともあります。

ファイルサーバーのクラウド化は、業務の効率化にも大きく影響します。ぜひ、上記でご紹介した内容を参考にして、ファイルサーバーのクラウド化をご検討ください。