基礎から実践まで学べる
クラウドサービス
実務入門講座

基礎から実践まで。クラウドサービスについての実務入門講座をご案内します。

・公開日:2021/12/13 クラウドの基礎知識

プライベートクラウドとパブリッククラウドそれぞれの概要や違いを解説

プライベートクラウドとパブリッククラウドそれぞれの概要や違いを解説

近年急速に普及しているクラウドサービス。個人だけでなく企業活動にとっても今や欠かせないツールのひとつとなっていますが、より利便性を高めるためには目的に合った最適なサービスを選択することが大切です。

そこで今回は、プライベートクラウドとパブリッククラウドについて、それぞれのメリットやデメリット、違いなどを詳しく解説していきます。

プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは、企業や組織が専用のクラウド環境を構築・運用して、自社内やグループ会社に提供する形態のことを指します。限定されたユーザーが対象のクローズドなシステムで、物理的リソースを他者と共有しないのが特徴です。

「専用のクラウド環境を構築できる」という点が、プライベートクラウドの最大の強みで、カスタマイズの自由度も高いことから、OSの設定やストレージ、回線の設計など、細かなところまで企業独自のニーズに沿ったシステムを構築することもできます。また、その企業のポリシーに合った高いセキュリティを維持できる点もプライベートクラウドを導入するメリットのひとつです。

ただし、その企業専有のシステムを構築するため、導入コストが比較的高くなるというデメリットもあります。初期段階ではカスタマイズの自由度は高いものの、導入後についてはリソースの追加や縮小、容量の増減などの変更はしにくいという点についてもしっかりと理解しておく必要があるでしょう。

なお、最近の傾向として、プライベートクラウドは物理的リソースを社内に設置するか、外部に設置するかによって以下の2種類に分類されています。

オンプレミス型プライベートクラウド

自社でインフラの構築・運用を行い、自社内のユーザーにクラウドサービスを提供する形態のことで、「所有型プライベートクラウド」とも呼ばれています。自社内にシステムを設置しているため、外部からの不正アクセスのリスクも極めて少なく、秘匿性が重視される業務や大企業に適した形態です。自社でインフラを用意するため、導入費用はやや割高になります。

ホスティング型プライベートクラウド

物理的リソースを社内に持たずにクラウドプロバイダが提供するサービスを利用する形態で、「利用型プライベートクラウド」とも呼ばれています。クラウドプロバイダが構築したインフラを利用するため初期費用を抑えることができ、月額定額のサブスクリプション契約が一般的です。オンプレミス型と同様に、独立した専有環境のため高いセキュリティを構築できるのが特徴で、中小企業から大企業向に適した形態となっています。

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドというのは、クラウドプロバイダが提供するサーバーやソフトウェア、回線といった全てのリソースを、業界や業種を問わず多くのユーザーで共有して使うことができるサービス形態のことを指します。

企業から個人まで幅広く利用可能で、ユーザーは、ハードウェアやソフトウェア、通信回線などを独自に所有しなくても、クラウドプロバイダが提供するデータセンターファシリティや、サーバー、OS、ミドルウェア、回線などのさまざまなリソースのなかから、必要な分だけを利用することができるというのがパブリッククラウドの特徴です。

オンライン上で手続きするだけですぐに利用を開始することができ、初期費用を抑えられるというのが大きなメリットのひとつで、個人やスタートアップ企業から大企業まで幅広い用途に適しています。また、CPUやメモリ、ディスクなどを選べることから、ある程度のカスタマイズができる一方で、インフラの運用や管理はクラウドプロバイダ側が行ってくれるため、運用コストを大幅に削減することが可能です。

ただし、パブリッククラウドはクラウドプロバイダが提供するサービスや環境への依存度が高いため、万が一システム障害などが発生した場合も、個々の利用者が独自に対応することはできず、プロバイダ側の復旧作業が完了するのを待たなくてはいけないというデメリットもあります。

プライベートクラウドとパブリッククラウドの違い

プライベートクラウドとパブリッククラウドの最大の違いは、プライベートクラウドが限定されたユーザーだけが利用できる(クローズド)のに対し、パブリッククラウドは不特定多数のユーザーが利用できる(オープン)であるという点です。

また、プライベートクラウドはその企業のためだけにシステムを構築するため、OSやソフトウェア、回線などが自由にカスタマイズできますが、パブリッククラウドはクラウドプロバイダが提供するシステムを利用するためカスタマイズの自由度はやや劣ります。ただし、プロバイダが予め構築したシステムを利用できることから、パブリッククラウドはプライベートクラウドと比べると導入スピードが速く、初期費用を削減できるという違いもあります。

プライベートクラウドとパブリッククラウドはそれぞれにメリットが異なります。導入の際には、両者の特徴を正しく理解した上で、用途に合ったものを選びましょう。