考慮すべきリスクは? テレワークの導入方法と注意点
時間や場所の制約を受けずに、多様な働き方ができるテレワーク。コロナ禍でその需要が拡大し、テレワークの導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。そこで今回は、テレワークの導入方法と、導入する際の注意点について詳しく解説します。
テレワーク導入の目的
テレワークを導入する際には、まずその目的を明確にしておくことが大切です。テレワーク導入の目的は企業によってさまざまですが、一般的なものとしては通勤負担の軽減、人材確保、ワークライフバランスの実現、オフィコストの削減などがあげられます。
また、2020年2月頃から日本でも新型コロナウイルスの感染拡大の影響をうけて、感染症対策を目的としたテレワークの導入も急激に増加しました。さらには、地震や台風、テロなど不測の事態が発生した場合に、事業の継続性を維持するBCP対策を目的としてテレワークを導入する企業も増えています。
テレワークの導入方法
企業と社員の双方にとってメリットの大きいテレワークですが、思いつきですぐに始めるというわけにはいきません。テレワークの導入を成功させるためには、決めるべきことや準備することが多数ありますので、しっかりと計画を立てて進めていくことが大切です。では、テレワーク導入の際の具体的なプロセスについて、詳しく見ていきましょう。
テレワークの導入検討・方針の策定
テレワークというのは、あくまでもある目的を達成するための手段であって、テレワークを導入すること自体が目的となってしまうことは避けなくてはなりません。人材確保や生産性の向上、社員のワークライフバランスの実現など、何を目的にするのかを明確にした上で、テレワークの導入を決めましょう。
プロジェクトチームの発足
テレワークの導入をスムーズに進めていくためには、プロジェクトチームを設置することをおすすめします。プロジェクトチームのメンバーは、経営トップだけで構成するのではなく、実際にテレワークの対象となる部署からも加えることが大切です。また、総務部、人事部、情報システム部などテレワーク導入の影響を受ける部署からもメンバーを選出します。
現状の調査
テレワークを導入すると、該当する部署の社員は働き方が大きく変化します。当然のことながら、現状の就業規則では合わないことも出てきますので、その点をきちんと明確にしておくことが大切です。給与や手当、勤怠管理、人事評価の方法、社内システムの状況など、現状を細かく把握し、どのような変更が必要になるのかを確認しましょう。また、想定される問題点やその解決策についても具体的に考えておくことが大切です。
導入範囲や形態、社内ルールの策定
業務の内容によっては、テレワークよりも従来の働き方が適している場合もあります。テレワークをどの範囲まで適用するのか、1週間のうち何日を対象とするのかなど、適用の範囲や形態を明確にしておくことも大切です。また、労務管理、勤怠管理、人事評価制度、コミュニケーション方法などについて、社内で不公平が生じないようにルール策定も欠かせません。
テレワークのための環境整備
テレワークの導入を成功させるためには、ICTを始めとする環境の整備は最重要課題のひとつでしょう。情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを考慮したセキュリティ対策は必須といえます。リモートアクセス環境の整備にはツール選択も重要になりますが、初期コストを最小限に抑えてスピーディーにテレワークの導入を進めるのであればクラウドサービスの活用がおすすめです。
テレワークのテスト導入
テレワーク導入のための準備が整ったら、最初から本格的な導入を行うのではなく、まずは対象となる社員と期間を限定した小規模な範囲でのテスト導入を行いましょう。その結果を分析・評価することで課題や解決策を具体的に考えるのが理想的です。
テレワーク本格導入
テスト導入を経て、ようやくテレワークの本格導入へと移ります。その際に大切なのが社員への情報共有です。テレワークを導入することになった背景や、導入の目的・意義について丁寧に周知しましょう。
また、テレワークは導入して終わりではなく、評価・改善を継続することが大切です。社員が不満を感じていたり、負担が増えてしまっていたりしては導入の意味がありませんので、必ず社員へのヒアリングを行うようにしましょう。
テレワークの導入における注意点
テレワークは目的を達成するための手段ですので、導入がゴールになってはいけません。導入後は必ず効果の検証を行い、導入後に生じた課題に対しても細やかに対応していくことが大切です。実際にテレワークの対象となっている社員が不便だと思うことなど、意見を言いやすいシステムを社内で構築しておきましょう。
感染症拡大の影響を受けて急速に広まったテレワークですが、今後は働き方の一つとして定着していくことが予想されます。テレワークを導入する際には、上記でご紹介した内容を参考にして準備を進めていきましょう。